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2007年10月24日更新

子育ての不安やストレスを軽減!ママと子どもの関係をサポートするマンションが増加中
 以前の“子育てにやさしいマンション”といえば、郊外で緑が豊かな周辺環境とか、せいぜい共用施設にキッズルームが備わっているとか。どちらかといえば、イメージ的な部分が多かったのでは? でも、いまでは中味が格段にグレードアップ! 安全に配慮した設備仕様や空間プランなどのハード面から、子育て支援サービスなどのソフト面まで、きちんとした基準が整備されるようになってきました。そこで今回は、民間と自治体で展開されている「子育て支援マンション」の認定事業と実例、その他の独自の取り組みを紹介します。
民間で唯一の体系的基準! ミキハウス子育て総研の認定事業

 民間企業が展開する子育てサポート事業の代表的な存在といえるのが、ミキハウス子育て総研(株)です。2000年に設立され、『55192.com(ゴーゴー育児ドットコム)』というサイトを通じて、子育てに関わる相談を受けたり、悩みや関心事などについて各種のリサーチを実施してきました。こうした活動の一環として作られたのが「子育てにやさしい住まいと環境の基準」です。
 総研の代表取締役社長で、昨年『子育てにやさしい住まい』(週刊住宅新聞社)を著し、公演やセミナーに引っ張りだこの藤田洋さんが、基準作成の経緯をこう語ります。

図1.ミキハウス子育て総研の
『子育てにやさしい住まいと環境の基準』の主な項目
(マンションの場合)
分類項目 項目数
住居部分 子育てをする上で安心・安全であること 19
ママにとってストレスをためない空間になっている 25
子どもの健康にいい空間づくりがなされている 6
ママと子どもが触れ合いながら過ごす空間づくりがなされている 5
子どもの情操教育のための工夫がなされている 7
子どもの成長に応じて暮らしを変化させられる 2
共用部・管理体制 マンションの住民同士のコミュニケーションがなされる工夫がされている 4
子育てしやすいマンション環境が工夫されている 19
周辺環境 子育てに安全な環境になっている 4
子育てしやすい環境になっている 9

 「『55192』に寄せられる悩み相談だけでも、年間7000件にも及びます。その中で子育て事情が変化しているのを実感しますね。サイトの会員や情報誌の読者は、お子さんの年齢が0歳から4歳までのファミリーが中心で、その半数が持ち家層です。実際にマイホームを購入して暮らし始めてからの使い勝手の善し悪しや“ヒヤっと体験”など、子育て真っ最中の先輩たちの生の声を蓄積してきました。また、賃貸層の不満や意見もたくさん伺っています。こうしたママ・パパの子育てデータを集大成し、併せて専門家の意見を採り入れながら体系化したものです」

 具体的な評価基準は、「安心・安全」や「ストレスをためない空間」などのカテゴリーに分けられ、“ママさん目線”に立ったポイントが網羅されています。基準の数は、なんと100項目!(マンションの場合、図1参照。一戸建ては90項目)。
 その一つひとつについて、専門の認定士がチェックします。設計図書で評価するだけではなくて、実際に現地周辺を歩いて通学路の状態や生活環境を確認するという念の入れよう。認定士は、宅地建物取引主任者などの資格を持ち、大手デベロッパーで10年以上の実務経験がある“住まいの目利き”揃いです。

ミキハウス子育て総研の認定を受けると図のようなロゴマークを表示できる。
ミキハウス子育て総研の認定を受けると図のようなロゴマークを表示できる。

 現在は60点以上が合格ライン。認定を受けられる比率は3割程度だとか。けっこうハードルは高いのでは? それだけ、物件選びのモノサシとして信頼性が高いといえるかもしれません。
 認定がスタートしたのは2006年の春頃から。07年10月までの1年半の間に、認定物件は既に約100件に達しています。地域も北海道から鹿児島まで全国に広がっています。

家事をしながら子どもと触れ合える間取りプラン”

 現在、同総研の認定マンションがもっとも多いのは、穴吹工務店の「サーパスシリーズ」。その他、大手デベロッパーから各地域の有力建設会社まで、幅広い担い手が認定を受けています。それぞれに提案性のある物件が少なくありません。

 たとえば、アーバンライフ(株)が南大阪で販売している大規模マンション「松原天美アーバンコンフォート」。共用施設として、キッズルームの他にも、敷地内に芝生を敷き詰めたキッズパークがあり、就園前のプリスクールといった各種の子育て応援サービスを実施するなど、ソフト面も充実しています。

Cタイプの間取り図。80.80平米、3LDK+アーバンライブラリー。空間構成や動線にさまざまな工夫が施されている。「松原天美アーバンコンフォート」http://www.wanpa.jp
Cタイプの間取り図。専有面積80.80m²、3LDK+アーバンライブラリー。空間構成や動線にさまざまな工夫が施されている。「松原天美アーバンコンフォート」

 さらに、ママと子どもとの触れ合いを大切にする工夫が盛り込まれた間取りプランに特徴があります(Cタイプの間取り図とモデルルームの写真参照)。

 子どもの遊んでいる様子を見守りやすい対面キッチンは今や珍しくありませんね。「松原天美アーバンコンフォート」でユニークなのは、オープンキッチンのリビングと反対側のコーナーに、子どもが勉強したり絵を描いたりできる幅広いカウンターのついたライブラリーを設けたこと。

 また子ども部屋も、2つの洋室を隣接させて、出入り口と間仕切りの一部を引き戸にしてあります。小さいうちは引き戸を開け放してセミオープンにして使い、成長したら独立型にするなど、フレキシブルに対応できるのがポイントです。

「間取り図や写真だけのときよりも、モデルルームを実際にご覧になると、気に入っていただける方が多いですね」(アーバンライフ(株)販売担当者)

 他にも、こうしたキッチン隣接のライブラリー空間を盛り込んだ間取りを採用している物件はあります。たとえば、(株)兼北が神戸市で開発した「リブコート オリジン」では、リビングに隣接したキッチンから見える位置に「チャイルドリビング」というプラスアルファ・ルームを採用しています。

Cタイプの間取り図。80.80平米、3LDK+アーバンライブラリー。空間構成や動線にさまざまな工夫が施されている。「松原天美アーバンコンフォート」http://www.wanpa.jp
自治体の認定制度も、首都圏と近畿圏中心に徐々に広がっている

 自治体で「子育て支援マンション」の認定制度を最初に始めたのは東京都墨田区でした。5年前からスタートし、現時点の認定物件は10件程度。都内では、新宿区や世田谷区でも同様の事業を始めています。関西圏では、大阪市と神戸市が同様の制度を実施しています。いずれも認定数は、まだ多くありません。自治体の場合、少子化対策や定住人口を増やすことが第一の目的のようですね。

 大阪市の「子育て安心マンション認定制度」の計画認定を受けている例としては、近鉄不動産(株)の超高層マンション「ローレルタワー梅田」と「ザ・上本町タワー」(関電不動産(株)等との共同事業)が挙げられます。

 近鉄不動産(株)では、官民の認定制度とは別に、ライフステージの変化に対応した提案型プラン「usfit’s(アスフィッツ)」というコンセプトも打ち出しています。従来の○LDKの発想にとらわれないプラスアルファの空間を生み出すプランで、バルコニーを活用した「usルーム」と、メニュープランのバリエーションとして提案されている「fit’sバリエーション」があります。

 その中で、子育てを意識したプランとしては、アトリエやファミリーライブラリーなどの「usルーム」、キッチンから見守れるキッズリビングや家族みんなで使えるファミリークロゼットなどがあります(間取り図参照)。

usルームのファミリーライブラリーforキッズ
usルームのファミリーライブラリーforキッズ

 「『usfit's』は、us(私たち)にfit(ふさわしい)する住まい作りをイメージした造語です。“us=アス”には、現在だけでなく、将来の快適性もイメージしていただける“明日”の意味も含んでます。特に子育て世代には『ファミリーライブラリーforキッズ』が好評ですね。キッチンやリビングダイニングから目が届く子ども専用のスペースとすることで、親にはすぐ近くで見守りながら家事ができる安心感を、子どもには自立心を与えることができるという点が特に評価されています」(近鉄不動産(株)・企画開発担当者)

 これらのプランは、総戸数400戸近い大規模マンションの「ローレルスクエア枚方フォレストゲート」を始め、7物件で採用されています(07年10月下旬時点に販売中の物件)。同物件では、コミュニティルームを利用した託児サービスや各住戸へのベビーシッター派遣サービス、幼児教室・英語・算数・国語教室などの知育サービスを実施する予定とのこと。ソフト面の充実にも力を入れているようです。

近鉄不動産の「ライフステージ対応コンセプト:アスフィッツ」のHPより編集。USルームとfit’sバリエーションの例。 http://www.usfits.com/
近鉄不動産(株)の「ライフステージ対応コンセプト:アスフィッツ」のHPより編集。usルームとfit’sバリエーションの例。 http://www.usfits.com/
近鉄不動産の「ライフステージ対応コンセプト:アスフィッツ」のHPより編集。USルームとfit’sバリエーションの例。 http://www.usfits.com/

 今後も、このような子育てをバックアップするマンションが続々と登場しそう。この秋は、お子さんと一緒にモデルルーム巡りをすると、新たな発見があるかもしれませんね。


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