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2008年3月19日更新

時代と共にカタチを変えて供給が続く、都市型コンパクトマンションのいま
 1980年代後半〜90年代にはSOHOマンション、デザイナーズマンション、そして2000年以降は都市型コンパクトマンション。専有面積30〜50m²台、シングル〜カップルを対象にした分譲マンションはこのように名前を変えながらひとつの市場を形成していましたが、近ごろ、この呼び名を聞くことは少なくなっていました。しかし調べてみると、さらにスタイルを変えて都市型コンパクトはしっかり存続していたのです。今回はその最新動向をご紹介します。
2003年が都市型コンパクトマンションの「元年」だった

 まずは「都市型コンパクトマンション」をあまりご存知ない方のために、歴史をざっと説明しておきましょう。東京カンテイ・市場調査部の中山登志朗さんにお聞きしました。

写真の銀座をはじめ、六本木、渋谷などのショッピングゾーン、オフィス街への好アクセスは、かつての都市型コンパクトマンションの魅力のひとつだった(写真と本文は関係ありません)。 写真の銀座をはじめ、六本木、渋谷などのショッピングゾーン、オフィス街への好アクセスは、かつての都市型コンパクトマンションの魅力のひとつだった(写真と本文は関係ありません)。

「1994年以降に始まったマンションの大量供給により、山手線の内側にも坪単価300万円以下のファミリータイプが次々に建築されました。2000年には住宅ローン控除の大幅拡充、基準金利が最低水準の2.0%という追い風が吹き、首都圏で10万戸を超える供給が記録されたのです。
 都市型コンパクトマンションは、大量に供給されたファミリータイプと差別化をはかる商品として登場しました。目立ち始めたのは大手デベロッパーが参入してきた2000年ごろ。2003年には6700戸超の供給を記録しています(図1)。この年が“都市型コンパクトマンション元年”といえるでしょうね」

 かつてマンションの間取りは非常に大雑把に分けると、ファミリータイプとそれ以外(ワンルームなど)のほぼ2種類でした。しかし、都心部にマンションが増えるにつれて、それでは対応できないことが分かってきたのです。
 最大の理由は都市生活者のライフスタイルが多様化したことでした。例えばシングル女性、シングル男性、DINKS、SOHO、シニア世代。彼らが自ら住む、あるいは貸す、さらにはセカンドハウスユース、投資用などの目的を持ち、ひとつの購入者層を形成しました。それに対する供給側の答えが「都市型コンパクトマンション」だったのです。

図1.首都圏 新築「都市型コンパクトマンション」の供給戸数&価格推移 バブル末期の1990年には、東京都の地価が高騰したため、供給は神奈川、千葉、埼玉の3県のほうが多かった(3県で2420戸、東京都は1575戸)。その後は東京都のシェアがトップで、90年代後半から2000年代前半までは9割以上を占めている。ちなみに、6700戸以上の供給があった03年には首都圏で9万戸超の新築マンションが供給された。全体に比較すれば10%未満であり、ニッチな市場であることが分かる。
都心部の地価高騰でタワーマンションとの「共存」へ

 しかし、図1でも分かるとおり、翌2004年からは毎年1000〜1500戸レベルで都市型コンパクトマンションは減少していきます。原因は何だったのでしょうか? 再び、中山さんの解説を聞いてみましょう。

 「もともとニッチな市場の商品でしたから、マンション全体の市場内での訴求力を失ったことや、都心部の地価高騰により、一棟まるごとの都市型コンパクトマンションが建てづらくなったことが大きな要因です。単独物件としての開発が難しくなった一方、少しでも買いやすくしたいデベロッパーの思惑で増えた狭めのファミリータイプ、あるいは広めのワンルームに飲み込まれていき、独自性が薄れていったというわけです」

都心部に立つタワーマンションの低中層フロアには、30〜50m²くらいのワンルーム・1LDKが入っているケースが多い(写真と本文は関係ありません) 都心部に立つタワーマンションの低中層フロアには、30〜50m²くらいのワンルーム・1LDKが入っているケースが多い(写真と本文は関係ありません)

 確かに、ここ2〜3年に首都圏で供給された新築マンションを調べてみると、ワンルーム〜1LDK、30〜50m²台の都市型コンパクト単独物件は少なくなっていることが分かります。ただし、2004年以降減り続けていた動きが2007年に変わり、供給戸数も持ち直しています。これにはどんな理由があるのでしょうか。

「この先、この調子で都市型コンパクトが増えていくという予測はできません。ただ、単独物件ではなく、都心のタワーマンションの低層階に供給されるようになったことは減少にストップがかかった要因といえるでしょう」

 つまり、都市型コンパクトは、単独物件からタワーマンションを構成する住戸にスタイルを変えて、いまも存続しているというわけです。なるほど都心部の新築タワーマンションの間取りを見てみると「ワンルーム・1LDK〜3LDK・4LDK」などと幅広いことが分かります。

“住宅すごろく”の第一歩としての「いまどき都市型コンパクト」

「ほとんどのタワーマンションは大規模マンションでもあります。そのスケールメリットのおかげで、キッチン、浴室などの水まわりやセキュリティなどに最新の住宅設備が採用されて、快適・安全な暮らしをおくることができます。
 また、スケールメリットでいえば、共用施設の存在も大きな魅力。低層階に住んでいても上層階の共用施設、たとえば展望ラウンジや屋上庭園などが使えるからです。総戸数が多くても50戸くらいだったかつての単独都市型コンパクトマンションでは、ほとんど得られなかったメリットですね。
 さらに、マンション自体が地域のランドマークとなるケースも多く、資産価値が下がりにくいことも期待できます」

 タワーマンションの低層階に組み込まれたことで、いまどきの都市型コンパクトの住人は、さまざまなメリットを享受できるようになったというわけです。
 しかし、中山さんは、そこに加えて新たな“在り方”が生じていると言います。それは何でしょうか?

「例えば、最初はDINKSだった二人が低層階の1LDKを購入。共働きで貯蓄が増え、やがて子どもが生まれ、手狭になったので中〜上層階のファミリータイプを中古で購入する。こんなケースが目立ち始めているのです。

家族が増えるにつれて、タワー内での買い替えを検討する人も 家族が増えるにつれて、タワー内での買い替えを検討する人も

 これは、タワーマンション内における“住宅すごろく”といえます。ライフステージの変化と共に、上階の住戸に買い換えて部屋が広くなり、さらに快適な暮らしが手に入る。もちろん眺望も良くなっていく。非常に分かりやすい図式ですよね。都市型コンパクトマンションは、いま、この住宅すごろくの第1歩に姿を変えつつあるのではないでしょうか」

現在進行している都心部の再開発エリアでも、ワンルームや1LDKを含むタワーマンションが建設されている 現在進行している都心部の再開発エリアでも、ワンルームや1LDKを含むタワーマンションが建設されている

 将来的に資産価値が下がりづらいマンションが多く、住み心地も良好。上の階の住戸に買い替えた場合、元の1LDKは貸して、家賃収入を返済に充てることも検討できる……いまどきの都市型コンパクトには、さまざまな好条件がそろっているといえそうです。最初に郊外の大規模ファミリータイプを購入するのももちろんひとつの考え方ですが、一方、こうした選択肢も検討に値するのではないでしょうか。

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