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2008年4月2日更新

2008年の公示地価、2年連続で上昇
 3月24日に、国土交通省から2008年の公示地価が発表されました。全国平均でプラス1.7%(全用途)の変動率で、07年に続いて2年連続の上昇という結果です。とはいえ、このまま地価上昇の傾向が強まるという指摘はほとんどないようで・・・。今、地価に何が起こっているのでしょうか。地価の最新動向をレポートします。
地価上昇の波が三大都市圏から地方へ波及
図1.2008年公示地価の変動率

 07年は公示地価が16年ぶりにプラスに転じて、ようやく地価下落傾向にも底打ちの兆しが見えました。
 そして08年の公示地価では、図1のように全国平均で、住宅地、商業地ともに昨年を上回る上昇率を示しています。三大都市圏では大阪圏の商業地を除いて、すべて昨年よりアップ。地方圏はまだマイナスですが、下落率が縮小しています。

 地域別の状況を見ると、大都市圏の都心部から地方中核都市や大都市周辺部に地価上昇地点が広がっている様子がよくわかります(図2参照)。
 まず、三大都市圏では三重県を除き、すべての都府県で住宅地、商業地ともにプラスを示しています。東京都区部では、住宅地も10%を超える高い上昇率。川崎市や千葉市、大阪市、名古屋市では商業地が10%以上もアップしました。

 さらに、地方圏でも中核都市の動きが活溌です。なかでも仙台市の商業地は18%の大幅アップで、仙台駅前商業ビルの土地が上昇率全国トップを獲得しました。金沢市、岡山市、広島市、鹿児島市、那覇市といった周辺都市でも商業地がプラスを示しています。

 ただし、地方都市全体が好転したわけではありません。たとえば高知県では、住宅地の下落率が昨年より拡大。青森県、島根県、佐賀県などでは足踏み状態に止まっています。じりじりと下がり続ける地方都市と上昇する大都市との差はますます広がり、二極化傾向がさらに進みそうです。

図2-1.地域別変動率(三大都市圏、図2-2.地域別変動率(地方圏)
人気の高い住宅地で、上昇率のハイスコアが続出

 住宅地の状況について、もう少し詳しく見てみましょう。図3は、公示地価の住宅地の上昇率上位10位までを示したものです。

図3.住宅地の上昇率上位10地点(全国)
(単位:%)
順位 都道府県 標 準 地 の 所 在 地 変動率
1 東京都 港区南青山4-20-4 36.8
2 港区南青山4-12-1 30.6
3 渋谷区神宮前4-14-9 29.4
4 宮城県 仙台市青葉区錦町2-4-16 25.0
5 東京都 渋谷区恵比寿西2-19-6 24.2
6 渋谷区南平台町19-18 22.3
7 千代田区九段北2-3-25 21.5
8 武蔵野市吉祥寺本町4-19-5 21.4
9 港区赤坂6-19-23 21.3
10 宮城県 仙台市青葉区上杉5-6-8 20.2

 港区や渋谷区などの東京都心部のスポットが上位を占めているのは予想通りですが、仙台市の住宅地が2地点もランクインしています。どちらも地下鉄南北線沿線の都心部に近いエリアで、官庁街の近くや、大学などの教育施設が集まる文教地区でした。

全国の住宅地上昇率ナンバー1になった港区南青山4丁目の周辺 全国の住宅地上昇率ナンバー1になった港区南青山4丁目の周辺

 また、東京都でも、23区外の武蔵野市、JR中央線「吉祥寺」駅に近い地点が8位に入りました。「住んでみたい街」といったアンケート調査では、必ず上位に食い込んでくる人気のある街です。
 ちなみに都心部では、表参道ヒルズの裏手や、先日オープンしたばかりの赤坂サカスと東京ミッドタウンとの間など、話題の再開発エリアに近いスポットが上位に入っています。

阪神エリアは大阪圏の住宅地上昇率上位を独占。写真は、神戸市の六甲から芦屋、西宮方面 神戸市の六甲から芦屋、西宮方面を望む。阪神エリアは大阪圏の住宅地上昇率上位を独占した

 大阪圏の住宅地上昇率トップ10は、すべて兵庫県内。しかも、阪急神戸線の「夙川」駅から「六甲」駅にかけてのエリアに集中しています。市町村別のランクを見ても、大阪圏の第1位は芦屋市、2位が西宮市。優良な住宅地として根強い人気のある阪神間が抜きんでていることがわかります。
 大阪府内では昨年上昇率の高かった高槻市、茨木市などの京阪エリア、京都府では長岡京市などが、やや減速しています。

 名古屋圏のトップ10もすべて愛知県名古屋市内にありますが、先行して上がってきた高級住宅地を擁する昭和区、瑞穂区などは上昇率が鈍化して、その周辺の千種区、北区の住宅地が上位を占めています。沿線でいえば、地下鉄東山線の「今池」駅から「東山公園」駅までのあたり。市町村別ランキングの上位は、名古屋市以外では、長久手町、東郷町、日進市といったリニアモーターで走る東部丘陵線「リニモ」の周辺に集まっています。

上昇率のピークは07年の半ばで終わり?

 以上のように公示地価のデータを見る限り、このまま地価高騰の傾向が続きそうに思えますが、専門家の間では「大都市圏の都心部の上昇は昨年後半から鈍化している」との指摘が一般的。公示地価と実勢相場との間になぜズレがあるのでしょうか。

 公示地価は年に1度、1月1日時点の土地価格を3月下旬に公表するものですが、全国で約3万地点を評価する必要があるため、実際には前年の9月頃から調査をスタートさせます。つまり、調査してから公表するまでに半年程度のタイムラグが生じるわけです。この間に起きた現象は、公示地価のデータには反映されません。

 生きているマーケットでは、水面下の動きが進んでいるのです。07年6月の建築基準法改正に伴う混乱から住宅着工件数が激減したことに端を発し、アメリカのサブプライムローン問題を引き金にした金融不安から外資系ファンドが投資を手控えたり、不動産向け融資が絞られたり、分譲マンションの売れ行きがダウンしたり。加えて景気の不透明感が高まるなど、さまざまな要因が重なって、土地取引が停滞し、地価上昇に歯止めがかってきたといえるでしょう。

図4.東京圏の四半期ごとの地価変動率

 その兆候は、こんなデータに表れています。「三友地価インデックス」(図4参照)によると、東京圏の地価は昨年の第3四半期、7−9月期にピークを打ったあと上昇率が鈍化。明らかに減速し始めています。

 また、国土交通省も、実勢に近い地価動向を把握するために四半期ごとの情報を収集して公表する「地価LOOKレポート」の第1回(07年第4四半期の情報を盛り込んだ結果)を、3月に出しました。このデータによると、東京圏では、6%を超える急上昇の地点が減り、0〜3%程度の小幅な動きを示す地点が増加。東京都港区の芝浦地区では「弱含みの取引が一部に見られる」という指摘も出ており、横ばいになっています。
 大阪圏では、阪神間や京都市内で横ばいが目立ち、なかには西京区桂のように「取引件数が減少傾向にあり」、値下がりし始めたエリアも登場しているようです。

 バブルの頃は、まだまだ上がるという値上がり期待の思惑に、「早く買わないと、一生手の届かない価格になってしまう」という一般ユーザーの焦りから、買いが買いを呼んで地価高騰に拍車がかかりました。しかし、今回はそういった心配はなさそうです。都心部では「ミニバブル」という指摘もありましたが、マーケットの調整機能が働いて地価の過熱にブレーキがかかっているといえるかもしれません。

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